職場も決して無縁ではない旧統一協会問題
安倍元総理の衝撃的な銃撃事件以来、旧統一教会の問題がクローズアップされています。
旧統一教会のみならず、この種の宗教にまつわる問題と労働組合はまったく無縁ということではありません。
そうそう頻繁にというわけではないのですが、必ず職場で問題になることがあるのです。「誰々が陰で同僚を勧誘している」とか、「誰々が宗教にはまって、職場に出て来なくなった」といったことが。
もう少し広げると、「職場の同僚に何か商品を勧めている社員がいて困る」なんて話を聞いたことがあります。探ってみると、後ろにどうやら宗教があったそうで。そのときには、いま話題になっているような高額な壺ではなく、海外の化粧品を勧めてくるという話でしたが。
調べてみると、販売している会社が某宗教と関係が深いということが分かって、その社員には職場で同僚に商品を売りつけるようなことはしないようにと会社から注意があって大事にはならなかったようです。
そういう問題の解決に労働組合が乗り出すなんてことはあまりないはずです。少なくとも、私のまわりで、そういう問題の解決に直接乗り出した労働組合や組合員というのを聞いたことはありません。
労働組合がそういう問題を関知するのは、最後の最後、当事者が職場を辞めるということになった場面ということも少なくないでしょう。「あの人、どうやら、家族の宗教の問題で会社を辞めることにしたらしいよ」という話が漏れ伝わってくるのです。
そういう意味では、労働組合と宗教の問題は無関係ではないとはいえ、縁遠いものなのかもしれません。あるいは、宗教の方が労働組合の活動を避けているということすらあるのかも。
職場での宗教問題に労働組合が果たせる役割とは
もちろん、信教の自由が日本では保障されていますので、どんな宗教であっても信仰するのは自由です。ただ、それを職場に持ち込んで、従業員であることを利用して何かを同僚に強いるような活動を行うとなると、話は違ってきます。
さすがに、露骨に職場で宗教の勧誘を行うような人はいないとは思いますが。
少しだけ厄介なのは、とある宗教系の会社とされるところがあることかもしれません。ネットで検索すると真偽不明な情報が数多く出てきますが、その会社が特定の宗教法人と懇意の関係とか、社員の少なくない人がその宗教の信者さんで、知らないで入社したら大変な目にあったという話は、以前、労働相談をした際に聞いたことがあります。
そういう会社には労働組合がなかったり、あっても活動が極めて低調で、労働者の頼りには全然なっていなっていなかったりといったことがあります。 どうしても、宗教のことになると労働組合も及び腰になってしまうところはあると思いますが、労働組合は労働者の職場での権利と生活を守るために活動しており、何より、労働組合の規約には、「何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によって組合員たる資格を奪われないこと。」(労働組合法第5条)ということ含めなければなりません。そういう意味では、全宗派に分け隔てなくというのが労働組合の基本です。ですから、何かの際には、相談に乗れる存在ではあるような気がします。実際には、なかなか難しいでしょうけど。。。
むしろ、これからは、宗教を理由に解雇された従業員が労働組合に駆け込んでくるなんてことはありそうですね。