労働組合

連合による「就職差別に関する調査2019」結果公表

採用活動も真っ盛り

 来春入社の新入社員の採用活動も真っ盛りです。人事の部署に所属していなくても、選考の途中の面接に駆り出されたり、出身校の学生の対応をしたりと、採用活動が始まると、「今年もその時期だな」と思い感慨深いです。

 最近は、面接でも大変気を遣っていまして、私が入社面接の際に尋ねられたようなことでも、現在はNGなことがあり、そういうことは尋ねないように注意を払いながら学生に対応します。全ての学生に入社頂くわけにもいきませんので、私が対応した段階で、就活生にはおなじみの「お祈りメール」を出すことになることもあります。こちらが辛い点をつけなくても、人事の方の判断で次の段階には進ませないということもあるので悩ましいものです。

就職差別に関する調査2019

 ところで、先日、連合が「就職差別に関する調査2019」の結果を公表しました。

 最近3年間に就職のための採用試験を受験した全国の18歳から29歳の男女1000人の回答を集計したものです。

 質問は、採用試験の応募、採用試験の面接、就職活動全般の三つの観点についてです。

 私自身にも関わる可能性がある質問としては採用試験の面接に関する質問があります。毎年、何人も面接を受け持つわけではありませんが、最終面接に至る過程の何次面接かのところで、それぞれの職場から面接官に駆り出されます。その際には、人事の方から注意事項などを知らされるのですが、概ねそれは、この連合の調査にもあるように、尋ねてはならない事項についてです。きちんと頭の片隅に入れておかないと、つい初対面の人であれば尋ねてしまうような事項もそこには含まれています。

 採用試験では、適性や能力に関係ない質問はすべきではないとされています。

 連合の調査では、すべきでは質問を並べておいて、その中から「面接官が聞いてはいけない質問」を回答者に選ばせています。

 複数回答可ですので、出来るだけ多くの選択肢を選んで欲しいというのが調査側の思いなわけですが、実際にはあまり選ばれていない選択肢もあります。

 一番多く選ばれたのは宗教で66.5%。それに、支持政党61.9%、家族の職業・収入52.6%、住宅や資産状況49.8%が続きます。このあたりまでが半数程度の回答者には認識されている質問してはならない事項です。家族や住宅は初対面でも尋ねてしまいそうな事柄なので、注意が必要ですね。

 以上に続いて、回答が集まったのが、思想信条47.1%、労働組合や市民活動についての見解や加入経験44.5%です。労働組合の活動を快く思っていない企業もありますので、新入社員のうちから、そんな活動にのめり込むような人物は採用したくないとばかりに、以前はこういう質問もなされていたようなのですが、最近ではそれはしてはならない質問であるということが採用試験を受ける側にも認識されつつあると言えそうです。

 以降は少し回答者数が減って、居住環境27.5%、購読新聞24.9%、家族構成23.6%、性別20.5%となります。このあたりになると、実際には面接の場で尋ねられている可能性も大いにありそうです。

就職差別のない会社へ

 「面接官が聞いてはいけない質問」を選ばせる質問の回答結果について、驚いたのは、15.8%が「あてはまるものはない」と回答していたという点です。

 宗教や支持政党は普段の会話でも意識して尋ねないようにしている印象が個人的にはありますが、そういう事項についても、採用試験であれば面接官が尋ねても良いと受験側が思っているということでしょうか。あるいは、特定の宗教を信仰していたり、特定の政党を支持していたりする人はそう多くないので、尋ねられても気にならないということかもしれません。

 他の多くの会社のことはよく分からないということもありますが、私の周囲では、その種の「尋ねてはならない」質問に対して、細心の注意を払っています。もちろん、労働組合の側からも、採用にあたって差別がないよう、会社側には申し入れなどを行っています。

 特にこれまで問題になってきたのは家族の状況などで、実際に私が採用された頃は、家族に同業他社の関係者がいる場合は採用しないとか、地方出身者は一定数に抑えるとか、そんな基準があったようです。

 最近は、ネットが発達しているので、そんなことをすると、就職の掲示板などに書かれてしまって、会社の採用活動に支障をきたすなんてことにもなりかねませんが、一方で泣き寝入りしている学生さんもいるはずです。

 採用に至らなかった受験者のフォローまで労働組合が行うことは出来ませんが、採用にあたって、その選考過程で受験者の皆さんに不利益が生じないよう要請することは今後もしていけると良いですね。