労働組合

今年は選挙イヤー 労働組合も力が入る

春闘も終わって、人の入れ替わりの時期

 春闘も終わって、4月からの新年度へ向けて忙しくなるのがこの時期です。会社によって定年退職者の退職時期は異なりますが、3月末をもって退職としているところも多く、まずは退職者の歓送迎会が続きます。それから、4月には新入社員を迎えますので、今度はそちらの歓迎会なども企画する必要があります。

 労働組合として見ても、人の入れ替わりがある時期で、何かと忙しくなります。各職場での人事異動に合わせて、労働組合での役割の調整を行ったりもします。定年退職だけではなく、転職で他社に移る人もいますし、新たに新入社員で組合に加入する人もいます。そういう人の出入を組合としても把握して、きちんと管理する必要があります。会社を辞める段になって、困りごとが生じて、労働組合に相談に来るという人もいます。

 公共系の労働組合の場合、この時期に定期人事異動の一覧が出回るので、それを確認するという作業をしているはずです。企業の場合、人事異動の情報の入手方法は一様ではないので、何とも言えませんが、正式発表の前に本人には内々に伝えられるので、そういう情報を労働組合も日々収集しています。

今年は地方選挙で忙しい

 人の出入が激しい時期はそれだけで労働組合は忙しいのですが、今年は統一地方選挙がありますので、そちらに関係するあれこれで忙しくなります。特に今日は知事選挙の告示日ですので、一部の労働組合は忙しくしていると思います。

 そういう選挙関連の活動で忙しくしている労働組合を見ると、「労働組合は政治活動ばかりしている」と勘違いされそうですが、知事選挙に関して言うと、労働組合の関与は必ずしも大きくないのが実情だと思います。少なくとも各地で労働組合の関わり具合には濃淡があります。

 例えば、北海道知事選挙。石川知裕氏と鈴木直道氏が立候補しています。石川氏は野党各党、鈴木氏は与党が推しているという構図です。この場合、石川氏の応援に労働組合が入ることになります。

 一方で、島根県知事選挙は保守分裂選挙となりました。山崎泰子氏、丸山達也氏、島田二郎氏、大庭誠司氏が立候補しています。自民党の県議会議員は丸山氏を、島根県選出の自民党国会議員は大場氏を、それぞれ推しています。連合島根は丸山氏に推薦を出していますので、労働組合もいくばくかの支援を行うはずです。ただ、丸山氏は選挙戦の主力は自民党県議会議員が担うことになるはずですので、労働組合の出番は少ないでしょう。

 11道府県の知事選挙の告示日となりましたが、それぞれで労働組合もフル回転というところとほとんど関係ないというところがあるのです。

選挙での支援とは?

 では、選挙戦で労働組合はどんな役割を果たしているのでしょうか。

 選挙に関わる仕事全般を担っているというのが正鵠を射ていると思います。ポスターを貼ったり、電話をかけたり。候補者による街頭演説の際には、一緒に応援依頼を行ったりすることもあります。なかには、候補者に代わって選挙運動全体の運営に労働組合の幹部が当たるというところもあると思います。

 いずれにしても、それぞれの候補者の陣営で労働組合の関わり方には差があるというのが現状でしょう。

 公職選挙法では、選挙に関わる単純労働を行う労務者に対して報酬を支払うことが出来るとされています。ただ、単純労働を行うとして報酬を受け取った人が選挙運動を行うと、公職選挙法違反となります。

選挙運動とは、ビラ配りや応援依頼を行うことを指します。人目に触れる活動というふうに見ておくと、分かりやすいと思います。この選挙運動については原則として報酬を支払うことが出来ません。そこで、労働組合員の出番となるというわけです。

ただ、選挙運動を行う「運動員」についても一部報酬を支払うことが出来ます。その額や範囲が公職選挙法で決められています。この報酬が支払われている運動員としてよく知られているのは、ウグイス嬢と呼ばれる車上運動員です。

 ちなみに、労働組合員が候補者の陣営との関係では無報酬で単純労務を行った場合、実際には金銭のやりとりがなくても、組合員側が候補者に対して寄付を行ったものとして事務処理する必要があります。

 このような事務処理を候補者と協力して行うのも労働組合の仕事です。

 ところで、なぜ労働組合が政治活動に取り組むのかという疑問を投げかけられることがあります。

 その回答としては、少し古いですが連合愛知が開設しているブログに的確なものがありましたので、紹介しておきます。

https://www.rengo-aichi.or.jp/blog/entry-165.html

 知事選の告示日ということで、労働組合と政治について詳しく書きましたが、労働組合は政治活動を主な活動としているわけではありません。それでも、重要な活動のひとつであることには変わりありません。

 特に地方議会議員の選挙では、組合出身の候補者も少なくないので、労働組合としても熱が入ります。