労働組合, 政治

電機連合の組織内候補だった矢田稚子前参議院議員の総理大臣補佐官就任

連合の見解

 9月28日付で、連合から「矢田稚子前参議院議員の総理大臣補佐官就任について」という見解が発表されました。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1255

 矢田氏が総理補佐官に就任したのは9月15日でしたので、それから2週間ほど時間があったわけですが、公表された連合見解は当たり障りのないものというか、これ以上のことは言えなかったのだろうなというものでした。

 電機連合の組織内候補として選挙も戦ってきた矢田氏がいわば敵であった自公政権の総理補佐官に就任するというのは、連合としても苦々しく思っているところでしょうし、出身の電機連合としても組合員にどう説明したものか悩ましく思っておられるのではないかと想像します。

パナソニックとしての判断

そうかと言って、矢田氏は出身のパナソニックに戻られていたようですし、政権からの要請もパナソニック経由でということのようなので、そうなると、断るのも簡単ではないはずです。もちろん、会社としては、悪い話もないわけですし。

 報道によると、取材に対してパナソニックからは次のような回答が得られたとのこと。
「当社グループ社員の矢田稚子さんが内閣総理大臣補佐官という重要な役割を担われることを大変光栄に思います。」
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/739608?page=2

 会社としては、こう答えるでしょうね、という回答ですね。社員が総理補佐官となれば、光栄なことでしょう。もともと矢田氏が労働組合で活躍し、組織内候補として当選して、参議院議員を務めていたという事実があるから、悩ましい事態となっているだけですし。

国民民主党の連立入りの布石か

上に引用した記事にもありますし、実際に、矢田氏の総理補佐官就任との速報を聞いたときには、「これは国民民主党の連立入りの布石なのか」と思いましたが、少し前の報道では、今回の内閣改造に際して、国民民主党の連立入りが模索されていたようです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA052740V00C23A9000000/

 国民民主党の玉木代表は一貫して連立入りを否定してはいますが、元々国民民主党の議員だった矢田氏の総理補佐官就任となると、連立入りの布石ではないかと勘繰られるのは必至でしょう。
 もちろん、直ぐにということではないと思いますが、総選挙が迫ってくると、また何か具体的な動きがあるかもしれません。そのような動きを牽制する意味も込めて、今回の連合の見解公表だとは思いますが、この後、どのような動きに発展していくのでしょうか。

 なお、矢田氏と一定の距離を置くとした連合ですが、10月の定期大会への岸田総理の出席で調整しているとの報もあります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0282aac25396f0cfa56219d2a6080db0574faf74

 いち労働組合員としては何だか悩ましいことが続いているというのが現状です。末端では何か出来るわけではないのが苦しいところですね。