労働組合は届出不要
既に労働組合がある会社であれば、入社した時に、労働組合に加入するのかどうかは考えるとしても、労働組合があること自体には疑問を抱くこともないでしょう。逆に、労働組合がなくて、「どうして、この会社には労働組合がないのだろう」と疑問に思うこともあるかもしれません。
特に、規模が小さな会社の中には、労働組合がないというところも少なくありません。あるいは、あっても、あまり活動に熱心ではなく、新入社員にも積極的に声かけをしないということもあるようです。
ここで、もし労働組合がないところで、いざ作ろうとなった時に、どうするのでしょうか。
実際のところ簡単なことではないのかもしれませんが、少なくとも手続上は、労働組合の結成はそれほど難しいことではありません。
複数の労働者が集まって、自主的に団結して結成すれば、いつでもどこでも自由に作ることが可能です。例えば役所への各種の届け出や、所属企業などの承認は必要とされていません。
労働組合法で守られる組合ということでは、同法第2条に条件があり、これを満たしている必要があります。
- ①労働者が主体となって組織すること
- ②労働者の自主的な団体であること
- ③主な目的は労働条件の維持改善であること
労働組合の資格審査があるようだけど?
労働組合は届出不要と言うと、「労働組合にも資格審査があうようだけど?」と疑問を投げかけられることがあります。
確かに、労働組合には、資格審査の仕組みが存在しています。
こちらは、神奈川県庁のWebサイトにある説明です。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/an8/roui/shikaku/index.html
そのまま引用しますが、以下のケースに際して、労働組合は労働委員会の資格審査を受ける必要があります。
- 不当労働行為の救済を申し立てるとき
- 法人登記をするために必要な資格証明書の交付を受けるとき
- 労働協約の拡張適用を申し立てるとき
- 労働委員会の労働者委員の候補者を推薦するとき
- 職業安定法で定められている無料労働者供給事業及び無料職業紹介事業の許可申請をするのに証明書が必要なとき
本格的な組合活動を展開すると言うのは適切ではないと思いますが、上記の事柄はより踏み込んだ組合活動をしていく上では必要となってくる事柄ですので、労働組合を立ち上げた際には、どこかの段階で受けることになる審査と呼べるのかもしれません。
実際に一から立ち上げるのは大変だけれども
実際に、労働組合を仲間と一から立ち上げるというのは、言うほど簡単なことではないでしょう。立ち上げた知り合いに聞いた話では、立ち上げるとなった時に、経営側から邪魔とは言わないものの、牽制のようなことはあったそうです。さすがに、あからさまな妨害行為は違法なので、経営側も考えながら、あれこれしてくるようですが。
どこまで力になってくれるのか、それぞれ組織力にも差があるので、何とも言いがたいところもありますが、各地の連合が労働組合の立上げの支援を行っています。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/rengo/about_union/index.html
まだ歴史が浅い会社など、労働組合がないというところも少なくないと思いますが、経営側と交渉を行っていくには、労働組合を仲間で結成して、団結することが重要です。
最近、このサイトに、「労働組合 作り方」で検索してたどり着いてアクセスして下さる方がいらっしゃるようですが、労働組合がないようでしたら、上に書いたように、自主的に団結して結成すれば、いつでもどこでも自由に作ることが可能です。出来れば、各地域の連合にも相談するなどして、新たな労働組合を立ち上げて下さい。