4年ぶりの現地開催
今年の第94回メーデー中央大会は、久しぶりの代々木公園での現地開催でした。その他、各地のメーデーも今年は現地開催とするところが多いようです。
主催者発表ではおよそ2万8000人の参加のこと。久ぶりの現地開催ということで、盛り上がったのではないでしょうか。
今年の連合によるメーデーで注目すべきは、岸田総理が総理大臣としては9年ぶりに参加したことでしょう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230429/k10014053591000.html
その前の総理大臣の参加は安倍総理だったはずです。さらに、その前には民主党政権の時の野田総理が参加していました。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2800I_Y2A420C1NNE000/
立憲民主党や国民民主党を支持する連合のイベントに、自民党総裁である岸田総理が参加するというのは、異例と言えるでしょう。
現職総理の中央メーデー参加
今回の岸田総理の中央メーデーへの参加については、「次期衆院選で労働組合票を取り込みたい思惑があるため」といった評価もあるようです。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230429-OYT1T50140/
確かに、そういう思惑もあるのかもしれませんが、中央メーデーに岸田総理が参加し、挨拶をしたからといって、そう簡単に立憲民主党や国民民主党の候補に投票している連合の組合員が自民党に投票するようになるということはないでしょう。
特に、中央メーデーに参加しているような組合員を野党支持から引き剥がすというのは、そう簡単ではないはず。次期衆院選ということなら、もう少し緩やかに活動しているような組合員の存在を意識しているのではないでしょうか。組合活動には参加し、労働問題に関心は持っているものの、そこまで強く立憲民主党や国民民主党を支持しているわけではない層です。
いずれの政党や政権であっても、労働環境を改善してくれるのであれば、それは歓迎すべきこと。特に、喫緊の課題である賃上げを実現してくれるのであれば、なおさらです。
挨拶だけではなく、政策の実行を
問題なのは、政権が呼びかけるだけでは、賃上げは実現しないことです。中央メーデーで、岸田総理は「本日はお集まりの皆さんと共に、賃上げの機運を何としても盛り上げたい、こうした思いで、本日、参加させていただきました。」と挨拶したそうですが、機運を高めるだけではなく、具体的な政策や施策が求められます。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202304/29meidei.html
岸田総理の挨拶のなかには、「労務費の適切な転嫁を通じた取引適正化を進め、中小企業の賃上げを実現してまいりたいと思います。さらに、この賃上げを構造的に持続させていきます。リスキリングによる能力向上、企業実態に応じた職務給の導入、成長分野への労働移動、この三位一体の労働市場改革を進めてまいります。」ともあります。
中央メーデーで、わざわざそう挨拶したくらいですから、その労働市場改革が本当に実行に移されるのか。その動向から目を離せません。