2022年10月から施行
労働者協同組合法が施行されました。
労働組合員として活動していると、こういう労働関係の法律の施行には敏感になります。といっても、この労働者協同組合法は直接労働組合に関係するような法律ではありませんが。ただ、気にはなる法律ですので、簡単にその内容を確認してみたいと思います。
まず、施行は2022年10月。労働者による協同組合の設立や運営、管理などについて定めた法律です。
条文は、こちらに掲載されています。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=502AC1000000078
労働者協同組合に関する法律
この法律の解説は、厚生労働省が開設したWebサイトで詳しくなされています。
https://www.roukyouhou.mhlw.go.jp/
まず、労働者が組合員となって出資し、労働者協同組合を設立します。そして、労働者協同組合は組合員と労働契約を結び、組合員は組合が行う事業に従事します。
労働者協同組合法第22条で、発起人を3人以上集めることが規定されていますので、組合を設立するには3人が必要となります。
まずは、法務局で設立の登記を行い、その後に、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に設立の届け出を行うこととされています。
想定される分野は
従来から株式会社やNPO法人を設立するという方法もありますが、この労働者協同組合法は、主に介護、障害者福祉、子育て支援、地域づくりなどの分野での利用が想定されているようです。
厚生労働省の説明には、「出資・意見反映・労働が一体となった新しい法人制度」とあります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28318.html
それこそ、労働組合も経営側に労働者の意見を反映させるべく、日々活動しているわけですが、法人の設立の場面から、自らで出資し、その意見を反映させる仕組みが作られたということでしょうか。
どの程度、この仕組みが活用されるのかは、今後の推移を見守る必要があります。
厚生労働省のWebサイトには、好事例集が掲載されています。
https://www.roukyouhou.mhlw.go.jp/good_cases
こちらは法律の施行前から活動している事業者が紹介されていますので、労働者協同組合を実際に設立したのかどうかは不明ですが、ここに掲載されているような介護、障害者福祉、子育て支援、地域づくりなどの分野の事業者が今後はその活動開始時に制度の利用を検討することになるのでしょう。
労働者の意見を反映させる
何より注目したいのは、労働者の意見を反映させることに重きを置いた仕組みが作られたことです。繰り返しになりますが、既存の労働組合も労働者の意見を経営に反映させるべく活動しています。それが十分ではないというところもあろうかとは思いますが。
労働者が出資して、自らの意見を反映させながら事業を推進していく。始まったばかりの労働者協同組合法に基づく新たな仕組み。その活用がどのように広がっていくのか注目したいですね。