自治労から岐阜県の県職員組合が脱退
岐阜県の職員組合が産別労働組合の自治労県本部から3月末をもって脱退するとの報道がありました。
https://www.asahi.com/articles/ASQ3K76J9Q3KOHGB006.html
産別労働組合から脱退ということで、あわせて連合岐阜からも脱退することになります。
報道によると、昨年2021年の県知事選挙をめぐる連合側との行き違いが脱退の原因となったとのこと。
先の岐阜県知事選挙では、連合岐阜と県職員組合が支持する候補者が別れました。こういう選挙をめぐる行き違いがしこりになることは決してないことでもないのですが、個別の組合が産別から脱退するという事態にまで至るのは稀だと思います。
県の職員組合は自治労の県組織での中では最大勢力というところも多いはずで、実際に岐阜県の場合も最大の組織とされています。なかには、組織内候補として地方議員を議会に送り込んでいるところもありますが、岐阜県は保守が強い地域性もあってか、自治労に関係する地方議員は少ないようです。記事には、県職員組合の中央執行委員長のコメントが掲載されていますが、「自治労や連合に関係する県議が県全域におらず、活動に限界がある」とのことです。
選挙での行き違いもさることながら、政治活動から得られるところがあまりないという現実的な判断があったのでしょうか。
連合から距離を取る労組の増加か それとも自治労からの組合離れか
先ごろ、全トヨタ労働組合連合会が国民民主党への支持を基本としつつも、野党に限定せず超党派との協力を加速させる方針を決定しました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA14CIS0U2A110C2000000/
昨年の総選挙では、トヨタ労組の組織内候補を取り下げるという対応があったばかりですが、この動きも今回の岐阜県の県職員組合の脱退に少なからずの影響を与えようです。
https://www.sankei.com/article/20220317-4DBGUDOQGJJJHC5HLX6B5YT6NE/
連合の会長が国民民主党や立憲民主党から距離を置くような発言をするような状況ですから、個別の組合が政治活動から距離を置くような、あるいは特定の政党に限らない活動を指向するような動きがあっても驚くことでありませんが。さりとて、連合の傘下の組合で一致して選挙に向かっていかないと、擁立した組織内候補を国政に送り込むことは難しくなるから悩ましいところです。
当然、そういう事情を知った上での今回の脱退ですから、直近の知事選挙だけではない積年の確執があったのかもしれません。
いずれにしても、自治労から脱退する県職員の労働組合が出始めたというのは注目すべき事柄です。職員労組が自治労に加盟していない都道府県は愛知県、千葉県の2県でしたが、これに岐阜県が加わることになります。
自治労は加入組合員数も多く、連合の中でも一定の影響力をもっていることは事実です。ただ、それが決して良い影響ではないということもないわけではなく、今回の県職員の組合のように、その傘下に所属することを快く思っていないところもあるのではないでしょうか。
これで一気に自治労から組合の脱退が続くとか、連合の中で自治労の地位が低下するとかいったことが起こるとは考えにくいですが、連合の政治活動のあり方をめぐって個別の労働組合がどのような動きを見せるのか今後注目したいところですね。