労働組合, 社会

労働組合の運動にもDXを

連合の会見全文

 連合のホームページに毎月の定例記者会見の全文が掲載されています。

https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/rengotv/kaiken/202105.html

 およそ関係者以外はアクセスしないページだとは思いますが、逆に組合活動に関わっている身からすると、折々に確認するのが必須と言って良いと思います。

 この5月分についても20日に実施された会見の全文が文字起こしされています。

 連合の神津会長、相原事務局長、石田副事務局長、冨田総合政策推進局長とマスコミの記者との質疑の様子が確認できます。

 これはいつものことですが、やはりというか、連合と立憲民主党や国民民主党との関係に関する質問がなされています。特に今月は、三者の政策協定に関する踏み込んだ質問がなされ、神津会長がそれに答えています。

 個人的な感想を言うと、「政策協定を結ぶことは難航しているのかな」と思いますが、果たして実際のところはどうなのでしょうか。

静かな春闘?

 今月、目を引いたのは読売新聞の記者から行われた春闘に関する質問です。

 少し長くなりますが、記者の質問の気になったところは以下のとおりです。

新型コロナの感染が拡大した昨年以降ですが、春季生活闘争やメーデーの集会やデモなどといった様々な場面でシュプレヒコールを上げたりとか、気勢を上げたりということがなくなりまして、静かな運動のやり方となっているわけですが、戦後春季生活闘争とか労働運動ではシュプレヒコールやデモというのは風物詩といいますか団結を示す1つの象徴的な手段となってきたと思いますが、そういうコロナ禍でそういったことができなくなった影響がどういうふうな形で出てきているとお考えでしょうか。

https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/rengotv/kaiken/202105.html

 確かに、新型コロナの影響で、実際に組合員で集まって何かを行うということが難しくなりました。まったく集まることがないというわけではないのですが、これまでと比べると、記者の質問にもあるように、「静かな運動」というのが実感です。

 もちろん、多くの人が集まったらからといって、直ぐに問題が解決するわけでもありません。ただ、経営側に対して労働組合の一定のプレゼンスを見せるために、みんなで集まっているところを見せるというのも重要です。

コロナ禍に合った組合活動を

 静かな春闘に関する質問に対する神津会長の返答も的確というか、確かにそうだろうと思うものでした。特に最後の以下の一節です。

連合としての運動スタイルというものを考えたときに、一方で今申し上げたように時と場合に応じてそれを1つのやり方として保持はしつつ、だけどそれをやればそれで皆連合がいっていることを前向きに理解してくれるかどうかというのは、冷静に見極めていく必要は片やあると思いますから、いろんなそのやり方、オンライン含めて、あるいは SNS そういったところのツールも含めて我々としてはもっと積極的に対応していくことが必要なのだろうというふうに思っています。

https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/rengotv/kaiken/202105.html

 従来型の運動スタイルも保持しつつ、その時々に合った運動を展開する。その方法としては、ICTの活用を積極的に図っていくということですね。

 最近、DXの推進といったことが言われていますが、労働組合も無縁ではありません。職場でもDXと称した取り組みが進められていたりもしますが、それに先駆けるくらいの気持ちで労働組合の運動についてもDXを進めていきたいところです。  神津会長も従来のシュプレヒコールを否定しているわけではないのですが、そういう「古い」やり方も残しつつ、より効果的な運動を展開するためにはDXといったことにも目を向けていく必要がありますね。