効力発効の期日は都道府県ごとに異なる
最低賃金は毎年10月に改定されています。本年2024年の改定では、最低賃金の全国加重平均が前年より51円高い1,055円になりました。
この最低賃金、いつから有効なものになるのでしょうか。
答えは、都道府県ごとに異なります。
効力が発生する発効年月日は都道府県ごとに違うのです。
最低賃金法が根拠
最低賃金とは、最低賃金法に基づいて定められている賃金のことを指します。
企業は従業員に対して、必ず最低賃金以上の賃金を支払わなければならないと法律で定められています。
最低賃金法
https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137
最低賃金は、効力のところで書いたように、都道府県ごとに定められている「地域別最低賃金」です。正社員・派遣社員・パート・アルバイト・臨時社員などの雇用形態・名称にかかわりなく、従業員やその使用者といった働く人全員が対象となります。
いわゆる正社員が最低賃金近辺の賃金ということは考えにくく、主に考慮されるのは非正規雇用やアルバイトということになると思いますが、法律上は、その対象は全ての働く人です。
対象となる「賃金」と契約
最低賃金の対象となるのは、毎月の基本的な賃金です。これには、残業代・ボーナス・慶弔手当・家族手当・通勤手当などの各種手当は対象に含まれません。
最低賃金より低い賃金で従業員を雇用する契約をした場合には、法律によって、それは無効となり、最低賃金と同額で契約したこととみなされます。毎年、最低賃金は改定されますが、雇用の契約との関係で、その期日と額を気にしておく必要があります。
特定(産業別)最低賃金とは
さらなる注意点として、「地域別最低賃金」よりも高い「特定(産業別)最低賃金」というものがあります。
「特定(産業別)最低賃金」は、18歳未満と65歳以上の人、雇用し始めて一定期間未満で技能習得中の人、対象の産業に特有な軽い業務に携わる人は対象外です。
産業ごとの労使が、「地域別最低賃金」よりも高い水準で最低賃金を定めることが必要と認めた場合に設定されることになります。
全国で224件あります(※2024年3月現在)。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/chingin/saiteichingin_industry.html
特定(産業別)最低賃金の金額は、産業ごとの関係労使による「改正(引上げ)が必要」という申し出があったときに、厚生労働大臣または都道府県労働局長が改正の必要性を最低賃金審議会に諮問します。そして、審議会から必要との意見が出された場合に、改正されます。