そごう西武労組がスト権確立
数日前になりますが、「そごう西武労組がスト権確立」というニュースが目に入りました。
https://www.asahi.com/articles/ASR7T4K0FR7TULFA011.html
労働組合活動をしていても、実際にストライキに突入しようという機会は、そうそうあることではありませんが、さらに「スト権確立」となると、なかなか稀なことでしょう。
ところで、「スト権の確立」と言われても、ピンとこない人も多いのではないかと思います。そもそも、労働者にはストライキの権利があるのに、わざわざ「確立」させるって何だろう、と。
もちろん、労働者にはストライキを行う権利が憲法上、認められているのですが、「いざストライキ」となったときに、闇雲にストライキに突入すれば良いわけではないのです。
スト権の確立
そのストライキが「正当な」ものであれば、ストライキによって業務が止まって会社に損害が生じるようなことがあっても、会社は、労働組合や組合員に損害賠償を請求することは出来ないことになっています。
この「正当な」というところがポイントです。何をもって、「正当」とするのか。ここで、スト権の確立が関係してきます。
ここで大事な法律が登場します。労働組合法です。
労働組合法の中に、ストライキに関係して、次のような規定があります。
労働組合法第5条第2項第8号
同盟罷業は、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数による決定を経なければ開始しないこと。
これは、労働組合の規約の中に定めるべき事項のひとつとして規定されていることがらです。
ここにある「同盟罷業」というのがまさにストライキのことです。組合員か代議員の直接無記名投票の過半数を越えないとストライキは開始しないという規定を、労働組合の規約に入れておきましょうということです。
そごう西武労組は93・9%の賛成
実際、記事によると、今回のそごう西武労組では、スト権確立の是非を問う投票で93・9%の賛成があったそうです。
ここで、もう一度、労働組合法の規定に戻ると、その第5条第1項が重要になります。
労働組合法第5条第1項
労働組合は、労働委員会に証拠を提出して第二条及び第二項の規定に適合することを立証しなければ、この法律に規定する手続に参与する資格を有せず、且つ、この法律に規定する救済を与えられない。
この後半の部分にある「救済」の中に、ストライキを実施した際に会社に損害が生じても、その責任を負わなくても良いということが含まれます。
つまり、前に取り上げた労働組合法第5条第2項第8号にあるような規程を労働組合の規約に入れておけば、そして、その規約に基づいてストライキの賛否を問うた上で、ストライキを実行に移した場合には、損害が生じても責任を負わなくても良いということになるのです。
今回、そごう西武労組は、きちんと手続きを踏んで、いつでもストライキに突入できる態勢になって、経営側と交渉していくということのようです。
実際にストライキに突入するのか否かは不透明ですが、93・9%の賛成というのは圧倒的ですので、その支持をもとに組合としても強く経営側と交渉にあたることが出来るのではないかと思います。