労働組合

物価高だから、ではイギリスのようにストライキだというふうにはならない

イギリスで大規模なストライキ

 イギリス各地で、賃上げなどを求める鉄道業界の労働者のストライキが開始されたとの報道を目にしました。

https://www.asahi.com/articles/ASQ6P65WRQ6PUHBI00K.html

 1989年以来のおよそ30年ぶりの大規模なストライキ突入ということで、日本にもその情報が伝えられるところですが、おそらく、この後は労使の交渉がまとまるまで、断続的に数か月単位でストライキが行われるのではないかと思います。

 今回の初動は鉄道業界となりましたが、物価高が続く中での賃上げを要求してのストライキですので、次に続こうという業界もあるはずです。実際に、公共部門の労働組合であり、イギリスの最大の労働組合でもあるユニゾンはストライキを準備中であると表明したとCNNは伝えています。

https://www.cnn.co.jp/business/35189314.html

 イギリス現地にいる日本人の方の投稿でも、「イギリスは今週、大規模な鉄道ストライキで、動いている電車は20%程度なので出勤を諦める人だらけです。」なんて書かれていまして、何だか大変そうだなというのが率直な感想ですが。

 日本では、最近はストライキに突入という話はあまり聞きませんよね。労働組合で活動している私が言うのも変ですが、ストライキって、労働組合の活動の中でもだんだん選択肢に入らなくなってしまっているように感じます。

 そうは言っても、先日、和歌山県の私立学校でストライキが行われたという報道もありました。

ストライキありきではない

 これに関係して、ABEMA Primeでも取り上げられて、日本のストライキの件数が激減しているという話も紹介されていました。

https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p3824

 このABEMA Primeにコメントを寄せていたのが全国労働組合総連合(全労連)副議長です。そのコメントのなかに、こんな一節がありました。

「それが転機を迎えるのが1989年だ。この年、闘う労働組合である『総評』と、いわゆる“会社派”、“御用組合”の集まりである『同盟』がくっついて日本最大の労働団体である『連合』が生まれた。しかし、連合は全くストライキをしない。それどころか春闘の賃上げ交渉で会社から回答が出てくると、即座に“分かりました”と妥結し、闘いをやめてしまう。」

https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p3824

「他方、排除されていった闘う労働組合の人たちが立ち上げたのが、私のいる『全労連』だ。少数派ではあるが、今年の春闘でJMITUは全国約200の労働組合のうち、100近い職場でストライキを起こした」

https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p3824

 連合に対して批判的ですが、それは全労連だから、無理からぬことですが、ストライキを起こしたことを誇るかのような物言いはどうなんでしょうね。

 ちなみに、全労連は共産党に近い労働組合とされています。

 ストライキは労働基本権のひとつとして認められた労働者の権利でもありますが、だからと言って、ストライキありきというのはおかしな話でしょう。ストライキはあくまでも最終手段。労使の交渉をまとめる努力をして、本当に最後の最後で繰り出すものです。

 日本でも物価高が進行しており、なかには賃上げを求めて急進的な動きに走る労働組合も出てくるかもしれませんが、ストライキは劇薬であって打って出るのは慎重でありたいですね。

 イギリスで大規模なストライキだからといって、日本でもと煽るような言動は控えたいところです。