室温28℃についての誤解
毎日、暑い日が続きます。
首都圏などでは、コロナ禍の影響もあって、テレワークの採用が進んでいるのかもしれませんが、それでも出社することが大前提というところも多いと思います。もちろん、生産や販売などの現業部門であれば、簡単に出社せずに自宅で作業というわけにもいかないでしょう。
こういう暑い時期に職場で問題になることに、「室温の設定」があります。
地球温暖化対策のために、環境省が「室温28℃」を掲げてキャンペーンを展開してきました。
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/coolbiz/article/action_detail_004.html
実際に、多くの職場で室温28℃にするように、空調の設定をしていたりするはずです。
ですが、こういう経験をしたことがあるのではないでしょうか。
冷房が不十分で職場が暑い。あるいは、冷房が効きすぎて職場が寒い。
冷房の効きすぎで寒いということは、「室温28℃」のキャンペーンもあって、少なくなってきていると思いますが、一方で冷房が不十分で暑いということは、むしろ増えているように思います。
この職場が暑いというのは、「室温28℃」が誤解され、冷房の設定が「28℃」とされてしまっていることが起きることがあります。
上に紹介した環境省のサイトにも明記されていますが、「室温28℃」であって、冷房の設定が「28℃」というわけではありません。冷房の設定が「28℃」の場合、室内は28℃ではないこともあります。最近では、PCなどの機器が熱を発することもあって、作業している社員の席では28℃ではなく、もっと高いということも起き得ます。
ただ、冷房の温度設定を高めにして、暑い時期にもその稼働を抑えると、電気代などを抑えられるという側面もあります。ですので、経営側とすると、地球温暖化防止に協力していると言えるし、コストも削減できるのでありがたいということもあります。
結局、暑いおもいをするのは職場で働く労働者ということになるだけですからね。
職場環境の向上に労働組合として出来ること
働きやすい職場の実現は労働組合の活動の中でも重要な取り組みとなります。
職場の室温も、大きなテーマにはなりにくいところがありますが、実際には大変重要な問題です。
労働安全衛生法には、次のような条文があります。
第二十三条 事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。
労働安全衛生法
環境省が「室温28℃」を持ち出すときには、この労働安全衛生法に基づく「事務所衛生基準規則」を根拠にしています。
事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が17度以上28度以下及び相対湿度が40%以上70%以下になるように努めなければならない。
事務所衛生基準規則第5条第3項(空気調和設備等の調整)
法律や規則で規定されているのですから、きちんと守って欲しいところですが、実態はそうでもないということです。
職場が暑いとき、もちろん、そう感じたということを上司や総務関係の部署に申し出るということで改善されることもあります。ただ、ひとりで申し出ても、聞き入れてもらえないことも少なくありません。
そういうときに活用して欲しいのが労働組合です。
組合員から申し出があれば、その旨を経営側に伝え、改善を要望することが出来ますし、毎年の労使交渉の際に職場環境の改善要求事項として伝えることも出来ます。 一人で交渉しても変らないことも、組合を中心に組織で交渉すると改善されることもありますので、まずは試して欲しい方法です。