ベアは前年を下回る傾向か
この時期の労働組合の中心的な活動は春闘です。そして、今日は3月13日。主要企業の集中回答日となり、春闘の最終局面となります。
全ての企業がこの日に組合側に回答をするわけではないのですが、日本を代表する企業の多くはこの日に回答がありますので、ニュースでも春闘の話題となると今日報じられることが多いはずです。
ニュースでは、ホワイトボードに各社の回答が記入される場面が映されますが、当然あれが全てではなく、より詳細な回答があり、労働組合員にも伝えられます。
https://www.jiji.com/sp/p?id=20190313122000-0029870710
ここ数年、労働組合にとっては嬉しい回答も多かったのですが、今年は少し風向きが変わったようで、労働組合側の要求を下回る企業も相次いだと伝えられています。
https://jp.reuters.com/article/wage-baseup-idJPKBN1QU07A
https://mainichi.jp/articles/20190313/k00/00m/020/043000c
労働組合側は様々な要求をしています。ただ、ニュースなどで取り上げられるのは、ベアに関する交渉の行方です。
ベアとは、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップのことです。ベアが実現し、その額が大きくなれば、働く人の多くに恩恵が及びます。裏を返すと、経営側としては、ベアを大きく行うと固定費が大きくなりますので、どうしても慎重になります。
出来るだけ多くの給料を払ってもらおうとする労働組合側と出来るだけ固定費は少なくしたい経営側のせめぎ合いがあるのです。
最近は、景気が良いとされ、ベアが実現してきました。しかし、今年は前年実績を下回る回答だった企業も少なくないようです。
気は早いですが、来年の春闘へ向けて
現在の安倍政権になってからは、安倍総理自らが企業に対して賃上げを要求するようになりました。これは「官製春闘」と呼ばれて、成果も残してきたのですが、今年は少し息切れしてしまったのかもしれません。
大企業をはじめ、ベアを維持しているところは、まだ状況としては悪くないと思います。特に、大企業では労働組合側も組織として一定の力を維持しているため、それなりに交渉力もあるので、来年以降も、ベアを基本として、そこからどれだけの上積みを得られるのか交渉していくことになると思います。一方で、労働組合の力が弱かったり、そもそも組織として労働組合が十分に機能していない企業では、経営者側に押し切られてベアの実現など程遠い状況にあるところもあるはずです。
労使の対立を煽るようなことは慎むべきだとは思いますが、労働組合側は力を蓄えて、来年の春闘に向けた活動がまた始まります。