労働組合

春闘に「闘」があるからと言って

 前回のエントリで、この時期は春闘が労働組合の主な活動と書きました。労働組合の組織として考えると、確かにそうなのですが、実際に一組合員としてみると、組合でも役職に就いている方々が頑張って会社側と交渉してくれていて、組合員はその推移を見守っているというのが正直な感想です。

 春闘には、「闘」の文字が入っており、これはストライキなどとも結びついて、労働組合の組合は闘争をしているなんて誤解されてしまっているのではないかと思いますが、そんなことはありません。

 この日記の副題に「労働組合員ですが、過激派ではありません。」と入れましたが、少なくない方が「労働組合=過激派」とか、「労働組合=過激な活動」とか誤解されているようにも思います。実際に、過去にはそのような過激な活動に走った労働組合関係者がいたことは否定できません。ただ、少なくとも現在は、昔のように過激な活動をしている方はいるとしても、ごくごく一部です。もちろん、私の周囲には、そんな組合員はいません。

 給料や労働環境など、私たちが働く上で大切な状況について会社側と交渉するのが労働組合の本来の活動ですので、時には厳しく会社側と向き合って欲しいと思うこともありますが、だからと言って、過激な活動に走るなんて組合員は基本的にはいないのです。

組織率は低下している

 そんな労働組合ですが、組織率というものがあります。簡単に言ってしまえば、雇用者のうち、どの程度の人が労働組合に加入しているのかを示した数字です。

 最近、毎月勤労統計の不正問題で世間を賑わしている厚生労働省が「労働組合基礎調査」というものを毎年公表しています。これに、組織率の調査結果が掲載されています。

昨年末に公表された平成30年の「労働組合基礎調査」を見てみると、組織率は17.0%でした。6人に1人くらいしか労働組合に加入していないということです。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/roushi/kiso/18/index.html

戦後は50%を超えていたのですが、以降は低下の一途です。最近は、雇用者が増えているのですが、組織率が上がることはありません。私のような労働組合の組合員というのも、日本の中ではだんだんと珍しい存在になっていることです。

ただ、「労働組合基礎調査」では、産業別の状況を発表していて、それを見ると、分野別ではまた違った様子であることが分かります。

一番高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の60.9%、一番低いのは、「農業、林業、漁業」の1.6%です。

全体の組織率である17.0%に近いのは、「情報通信業」の17.2%でした。情報通信業が日本全体を産業の状況を代表しているようで興味深いですね。

日教組も組織率は低下

 組織率について、先日、教職員が加入する日教組のそれは42年連続低下しているという記事を見かけました。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019030101269&g=soc

 日教組の組合員に私が直接存じ上げている人はいませんので、何とも言い難いところではありますが、外から見ていると、イデオロギー闘争を繰り広げているがゆえに結束している印象の強かった日教組。組織率は22.6%とのことで、日本全体の平均を見れば、まだ高い率を示しています。それでも42年連続の低下ということですので、組織としては苦しい状況にどんどん追い込まれているのだろうなとも思います。

 一労働組合員の私でも、日教組と聞くと、少し身構えてしまうところもあります。そうなってしまうと、実際に教職員として働く方も、おいそれと加入しにくくなっているのだろうなというのは想像に難くありません。  働く人に共感をもってもらえる活動を労働組合は展開する。そういうふうにしていかないと、日教組のような組織率の凋落傾向が続くのではないでしょうか。