労働組合と聞いて、何をイメージするだろうか。
「何をしているのか分からない」「自分には関係ない」
明確なイメージがない。これが一般的な反応でしょうか。
「政治活動をしている」「何か良からぬ活動を見えないところでしている」
こんなイメージを持つ人もいるかもしれません。
本来、労働組合は多くの働く人にとって無縁の存在ではないはずなのですが、実際にはそうなっていないのが実情でしょう。
無縁の存在ではないと聞いても、まさかと思うかもしれません。
そこで、まずは法律を確認してみましょう。
日本には、労働組合法という法律があります。その第二条が労働組合を定義しています。少し長くなりますが、以下に条文を示します。
第二条 この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、左の各号の一に該当するものは、この限りでない。
一 役員、雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接に抵触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの
二 団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの。但し、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、且つ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。
三 共済事業その他福利事業のみを目的とするもの
四 主として政治運動又は社会運動を目的とするもの
まず、労働組合とは、労働者が自主的に組織する団体、あるいはその団体の連合団体であるということが謳われています。
一人一人の労働者が普段接することになるのは自主的に組織した各団体ということになりますが、テレビや新聞で報じられる労働組合の活動は連合団体のものであることが多いです。
「政治活動をしているのでは」というイメージを持たれた方は、こちらの連合団体の活動を見て、そう思われているかもしれません。実際に、連合団体から議員として議会に議席を得ている方がいらっしゃいます。
ところで、「労働者」とありますが、これについても労働組合法で定義付けされています。同法第三条には、以下のようにあります。
第三条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう
この定義を見ると、最初に書きました「労働組合は多くの働く人にとって無縁の存在ではない」ということが理解頂けるのではないかと思います。
職業を問わず、給料などの収入によって生活する者。これは多くの方があてはまると思います。
ですから、多くの人が労働者であるということです。
その労働者が自主的に組織する団体。これが労働組合です。
そして労働組合法第二条には、労働組合を組織する主たる目的として、「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ること」をあげています。
ブラック企業といったことが話題になりますが、そういう企業はまさに労働条件が悪い企業です。例えば、そんな労働条件の改善を図るために、労働者が自主的に団体を組織する。そうして労働組合は組織されます。
もちろん、きちんとした労働条件が整えられている企業もたくさんあります。そういう企業では、労働条件の維持が重要となりますし、労働者の経済的地位の向上を図ることも必要とされます。ですので、労働組合を組織して経営者と交渉をしていく。そんなことも求められています。
繰り返しますが、働く人にとって労働組合は無縁の存在ではないのです。